- ジェスチャーで機器や装置をコントロール
- ながさきBLUEエコノミーへの参画
- 途上国の栄養改善活動を支援する「身長測定アプリ」の開発
- 長崎県での地方創生への取組み
- インドネシアでの教育支援活動
- 障害者スポーツ・ボッチャの普及・支援活動
AIで日常生活をより快適に
ジェスチャーで機器や装置をコントロール
シーエーシーは株式会社日建設計総合研究所(NSRI)と共同で、人の動作をAIが感知して機器や装置を制御するエンジン「UユーティーアイズT-AIZTM※」を開発しました。そして「UT-AIZTM」を活用してドアの販売を手掛けるゴールドマン株式会社と共に、ゴールドマンの開き戸用自動開閉装置「アシスト・スイング®」に「UT-AIZTM」を搭載した「アシスト・スイングUT-AIZ」のコンセプトモデルを開発しました。これは障害のある方や要介護者、荷物で両手が塞がっている方などのジェスチャーを「UT-AIZTM」が読み取りドアが自動で開閉し、快適な通行を可能にするものです。
「UT-AIZTM」はドアの開閉だけでなく、要介護者の見守りや日常トラブルの兆候検知、街の防犯対策など様々なシーンでの活用が期待されます。
「アシスト・スイングUT-AIZ」のイメージ
©NIKKEN SEKKEI LTD
ながさきBLUEエコノミーへの参画
三方を海に囲まれた長崎県は漁業資源に恵まれ、古くから水産業や海面養殖業が盛んです。しかし近年は、生産量・生産額の減少、就業者数の減少、自然被害やコストの増加、海域汚染などによる生産性低下などの課題を抱えています。ながさきBLUEエコノミーは、養殖DXの実現により海の生物と環境を守りながら資源を利用することで地域経済を持続的に発展させていこうとする取組みです。長崎大学をはじめとして、長崎県内外の産官学が協力して以下の3つのテーマに取り組んでいます。
長崎県に拠点を持つシーエーシーは、このながさきBLUEエコノミーに参画しています。シーエーシーが取り組んでいるテーマは、AIやIoTなどでデジタル化された養殖場での養殖魚の資産価値の算定、そして、算定された価値を担保とした金融機関等からの資金調達の仕組み作りで、いわば「漁業向けFintech」とでもいうべきものです。そのための実証実験の第一弾として、長崎県長崎市牧島町の昌陽水産様の協力により、AI/スマートカメラを活用し、水中カメラで養殖魚の体重を把握する実験を開始しています。
養殖魚は基本的にキロ単価で売買されるため、融資の際の担保としての観点と、養殖業における経営管理の観点の双方から、魚の成長度(特に体重)を「データ」として把握・管理することは大変重要です。従来は生いけす簀の魚を網ですくい、麻酔した後にサンプリング計測を行うといった方法がとられており、計測とデータ化には大きな手間がかかる上、魚を傷つけてしまう可能性もある作業でした。今回の実験では、水中の養殖魚を網ですくうことなく、水中カメラで撮影した動画と画像認識AIを用いることで、魚を傷つけずに体重をデータ化することが可能か実証を行い、結果、技術的には魚に触れることなく体重を推定することが十分可能 であることが実証できました。
シーエーシーでは今回の実証実験を皮切りに「漁業向けFintech」実現に向けた取り組みをさらに進め、ながさきBLUEエコノミーによる社会課題解決の活動に貢献してまいります。
- Change.1『作業を変える』
- 生産者の作業負担を軽減する養殖技術開発
- Change.2『育て方を変える』
- 海の生物と環境への負荷を軽減する養殖技術開発
- Change.3『働き方を変える』
- 若者が魅力を感じる水産プラットフォームの構築
AIによる認識と魚の体重分布データ化のイメージ
途上国の栄養改善活動を支援する「身長測定アプリ」の開発
独立行政法人国際協力機構(JICA)の新規事業であるJICA Innovation Questは、未発掘のアイデアの原石や新しい技術、個人の熱い思いを国際協力の世界とつなぎ、新しい国際協力のアイデアを生み出すオープンイノベーションプログラムです。このプログラムに参画したアークシステムは、日本工営株式会社および株式会社コーエイリサーチ&コンサルティングの有志とともに、JICAマダガスカル事務所のサポートを得て、マダガスカルチームとして活動しました。その成果が、2022年7月のファイナル・プレゼンテーションイベントにおいて発表され、アークシステムの社員が参画したマダガスカルチームが最優秀賞を受賞しました。
マダガスカルチームでは「途上国の栄養改善活動を支援する『身長測定アプリ』の開発と実証」をテーマに革新的な「身長測定アプリ(Baby Height App)」(特許申請中)の開発とマダガスカルでの実証実験を行いました。Baby Height Appは、日本工営社、コーエイリサーチ&コンサルティング社、アークシステムの共同研究によりプロトタイプを開発したもので、アークシステムはこの研究開発において技術領域を担当しています。
発展途上国においては子どもの栄養状態を正確に把握し、適切な栄養改善指導をすることが栄養不良改善のために重要です。「身長」は栄養状態を測る重要指標であるにもかかわらず、乳幼児の身長測定は、従来 の計測方法では精度が低く運用負荷も高いといった課題があり、その課題は長年解決できていませんでした。Baby Height Appは子どもにスマートフォンのカメラをかざすだけで、誰でも簡単に正確な身長を計測できます。従来の測定器のように子どもを押さえつける必要はなく、自然な寝たままの姿勢で計測できる革新的なアプリケーションです。
身長測定にかかわる長年の問題を解決し、栄養改善活動の基盤をより強固に支えるソリューションとして期待を寄せられているJICA Innovation Quest最優秀賞を受賞 Baby Height Appでの計測Baby Height Appは、途上国での活用のみならず、国内外の保育園、小児医院、特別支援学校など既存の身長計の利用に課題のある場面での活用の可能性も見込まれています。アークシステムは日本工営社、コーエイリサーチ&コンサルティング社とともにBaby Height Appの実用化に向けて協働体制を強化し、国際協力活動の一助となるべく研究開発を推進していく予定です。
JICA Innovation Quest最優秀賞を受賞
Baby Height Appでの計測
長崎県での地方創生への取組み
CACグループでは、豊かな社会づくりに貢献していくため、地域社会やコミュニティとの共創を目指しています。この共創により、事業を創出し、ひいてはその地域やコミュニティでの雇用促進と地域社会の活性化につながることを目指しています。
シーエーシーでは、2019年に長崎県長崎市にサテライトオフィスである「長崎BPOセンター」を開設し、120人以上の現地の人材を採用してきました。2021年11月には研究開発ラボでオープンイノベーションの拠点となる「HCTech AI Lab 長崎」を併設した長崎県内で2つ目のオフィス「長崎NBCオフィス」を開設しています。
また、2021年7月には総務省が支援する「地域活性化起業人制度」を活用した雲仙市へのデジタル化推進人材の派遣を実施、雲仙市でのデジタル化推進や観光振興へ取り組み、課題解決に向けて日々提案をしています。
このようにシーエーシーでは長崎県を地方創生の取組みの拠点とし、その活動を着実に拡大しています。
HCTech AI Lab 長崎の内観
インドネシアでの教育支援活動
2019年10月からCACグループの一員となった、インドネシアに主要拠点を持つMitrais は、Yayasan Kemanusiaan Ibu Pertiwi 財団(YKIP)の主要スポンサーとして、子どもたちに教育機会を与えるための支援を継続しています。
YKIPは、2002年に起こったバリ島爆弾テロ事件後の復興支援として設立され、「教育を通じて貧困の連鎖を断ち切る」ことを目的に活動している財団ですが、現在はプログラムを拡大し、奨学金プログラムを通じた教育サービスの提供も行っています。Mitraisはこの財団を通じ、バリ島の恵まれない子どもたちに小学校から大学まで勉強を続ける機会を与え、地域社会に貢献しています。
支援パーティの様子
障害者スポーツ・ボッチャの普及・支援活動
CACグループは、豊かな社会づくりへの貢献として、2016年からボッチャの普及・支援活動に取り組んでいます。
日本ボッチャ協会のゴールドトップパートナーとしての支援のほか、学校での体験授業実施、協会公認審判員の資格を取得したグループ社員による各地での審判活動などを行っています。また、ボッチャアスリートへの支援やボッチャボール間の距離を自動測定するAndroidアプリ「ボッチャメジャー」の開発、主催大会である「CACカップ」の開催、ボッチャ用具寄贈、本社社屋内に設置したボッチャコートの一般貸し出しなども行っています。
2016年度~2022年度までの活動実績
ボッチャメジャー
佐藤 駿 選手
主催ボッチャ大会の実施~障害者スポーツを通した地域活性化・交流
東京都内の特別支援学校に通う生徒たち100名超が参加する、CACグループ主催のボッチャ大会「CACカップ~学生ボッチャ交流戦」。2017年から開催しており、2023年秋で7回目を迎えます。競技としてのボッチャを楽しむ機会が少ない特別支援学校の生徒たちが本気で試合に臨むことのできる貴重な場であるとともに、光や音での演出を加えたり、大スクリーンに映像を投影するなどの工夫も凝らすことによって、参加する生徒たちにとっては一つの目標となる大会にまで成長しました。
ボッチャの知名度は以前に比べて格段に上がった一方で、関東圏以外の地域では大会の機会がまだまだ少ないという現状から、このCACカップの地方開催検討を始めました。シーエーシーが2019年に長崎県長崎市に事業拠点を設け、現地採用や新規事業創出に取り組んでいること、そして2021年には長崎県雲仙市と協定を締結し、デジタル化推進や観光振興等に取り組んでいるご縁もあり、雲仙市での開催を決定。雲仙市の活性化とダイバーシティ&インクルージョン推進に寄与することを目的に、2023年4月に初の地方大会である「CACカップ インクルーシブボッチャ2023 in 雲仙」を開催しました。
大会当日は障害者の方が対象の個人戦のみならず、誰でもチームを組んで参加できるチーム戦も行い、ボッチャが障害の有無や老若男女を問わず、すべての人が楽しむことのできる、まさにインクルーシブなスポーツであることを実感できました。
なおCACカップは、CACグループ社員自らが企画・運営を行っており、大会に携わる社員スタッフにとって社会貢献を体感できる貴重な場ともなっています。
「CACカップ インクルーシブボッチャ2023 in 雲仙」の様子