社外取締役に就任して2年
2021年3月にCAC Holdingsの社外取締役に就任し、約2年が経ちました※。就任のきっかけは、これまで皮膚科医として病院勤務をするかたわら産業医として企業と関わる機会があり、その中でのご縁でした。医療として企業と関わる機会があり、その中でのご縁でした。医療とITはまったく異なる業種ですが、企業にとって最重要である「人」という部分で、これまで数えきれないほどたくさんの人と診療を通して対話してきた経験が何かのお役に立てるのではと思い、就任を決めました。
※ 2023年5月にインタビュー実施。
新しい技術や概念を柔軟に取り入れる風土と堅実な社風がCACグループの特長
CACグループは、良い意味で“若い”雰囲気を持った人が多い会社だなという印象を受けています。日々進歩していくIT業界だからこそなのか、皆が新しい技術や概念を柔軟に取り入れる風土があり、他の会社でよくみられるジェネレーションギャップのようなものを感じません。年功序列や縁故にとらわれず、社員に公平にチャレンジする機会を与えようとしているようにも見えます。
また、CACグループの特長は、堅実な社風にも表れているように思います。世間では天才的な人物や革新的な技術など派手な例ばかりが目立って取り上げられますが、その背後で目立たずとも社会の根幹に関わるような仕事をし続けている人が大勢いるわけです。あるCACグループ社員の方から「私たちは歯車と歯車の間にある歯車のような仕事をしています」と聞いたことがありますが、私はそのことをとても好意的に捉えています。今後、CAC Vision 2030にある通り、さらなる成長を目指す企業としてどのように変化していくのか期待しています。
取締役会では、様々な人の立場を想定して発言
取締役会においては、専門的な内容も丁寧に教えてくださる方がたくさんいらっしゃいますので、質問もしやすくとても良い雰囲気だと思います。また、2023年より出席者や進行方法を見直したことで、担当の方それぞれの役割分担がよりはっきりし、皆さんよく考えて資料を作られていて、よりわかりやすくなりました。
私自身としては、取締役会では、CACグループに関わる様々な人の立場を想定して発言しようと心掛けています。取締役会の元来の役割としては株主の方向を向くことが求められているのかもしれませんが、それだけでは長期的には良くないと考えます。様々な検討事項において、もちろん株主視点は大切にしながらも、それが誰の方向を向いて決定すべきことなのかということを常に意識するようにしています。
「健康的で安全な職場の提供」に向けてこれまでの経験と知見を活かしていく
2022年7月に新設した「サステナビリティ経営委員会」ではアドバイザーとして関わっています。CACグループがこのたび特定したマテリアリティにおいては、重要課題の一つとして『1.社員にとって働き甲斐のある「選ばれる」職場環境』を掲げ、さらにそのゴールの一つとして「健康的で安全な職場の提供」を設定しました。CACグループでは従来から働きやすい職場環境の整備や健康経営の促進に取り組んではいますが、そのさらなる推進が求められる中、ここは私自身の経験や知見が活かせる分野だと思いますので、適宜提言を行っていきたいと思います。
また、社員の方々と直接お話しして現場の声を聞く機会をまだ設けられていませんので、理想と現実に乖離がないか、社員の方々と対話できるような機会があれば良いなと思っています。
社会にとってどのような価値があるかを自分たちで問い続ける
CACグループがさらに企業価値を高めていくためには、社会にどう向き合い、いかに社会の課題を解決していくかが重要だと考えています。例えば、新しい技術は本来歓迎されるべきものですが、使い方によっては思わぬところで害を及ぼし、諸刃の刃となる場合もあります。売上や業績向上のためならどんなことでもする、という企業もありますが、持続的に企業価値を高めていくためには、その技術が社会にとってどのような価値があるのかということを自分たちで問い続ける必要があります。そこで拠り所になるのが「企業文化」だと思います。CAC Vision2030ではCACグループに属する全員が大切にすべき5つの価値観を「Five Values」として明文化しました。これを土台とした揺るぎない企業文化を作り上げていくことが、CACグループの企業価値向上につながっていくのではないでしょうか。
「人」があってこその会社―その視点を忘れないよう助言を行っていく
社外取締役の仕事を通して実感しているのは、同じ会社であっても、経営陣、従業員それぞれの立場によって物の見方・考え方が異なるということです。私は今まで従業員の立場から物事を見る機会が多く、いつまでも解消されない会社側の問題がどうして起こるのかがわかりませんでした。しかし、社外取締役の立場から見ると、会社を経営する側にも苦悩があることがわかります。双方の見方・考え方の隔たりはそう簡単に解消できるものではありませんが、少しでもその隙間が埋まるようお互い努力をし続けることが大切だと思います。そういった思いと、私自身のこれまでの経験も踏まえ、「人」があっての会社であるということを経営者側が忘れないよう助言をしていくような役割でありたいと思います。